【公開講座】2022年「イタリア薬膳料理講座(第3回)」が行われました!
2022年公開講座『新田先生のイタリア薬膳料理講座』の第3回目が行われました!
今回のテーマは「めまいに対するイタリア薬膳」。
めまい(眩暈)とは、目がかすみ(眩)、頭がくらくらする(暈)ことで、軽症では目を閉じれば
緩和しますが、重症となると、立っていられなくなり、吐き気がし、汗が出て倒れることもあります。
中医学では”めまい”を症状により大きく3種類に分け、各々対処します。
●実証(邪気が亢盛で臓腑が強壮の状態)→邪気を取り除く
●虚証(正気不足で臓腑機能が減退している状態)→虚弱を補い、正気を増強する。
●虚実兼証(実証と虚証が同時に現れる状態)→補虚と袪邪を合わせて行う。
また、臓腑は「肝」「脾」「腎」が深く関わっていると考えています。
こちらの講座は調理実習前にその日のテーマに関する中医学理論の講義がありますが、難しい中医用語は新田先生がわかりやすくかみ砕いて説明してくれますので中医学・薬膳初心者の方でも安心して受講できます。また、受講者様は薬膳を日々の生活に気軽に取り入れたい方、既にお料理教室を主宰されていらっしゃる方、イタリア料理のシェフ、イタリア語翻訳家、飲食店経営者などバラエティー豊かな方々であり、年齢層も幅広いため毎回、和気あいあいと楽しい交流の場となっております。
新田先生からはめまいを各証ごとに分類し、原因・めまい以外にあらわれる症状・病因病機・対処法等をまとめた表を使用しながら詳しくご講義いただきました。
理論の後はいよいよ調理実習です。
それぞれのめまいのタイプにあったおすすめ食材を使用した下記メニュー4品を作りました。
☆ほうれん草のリゾット
タイプ:気血両虚証(気と血が不足)
立法:補気養血 気血を補い、脳に栄養を送り、めまいを止める。
まずは鶏ガラ、玉葱の皮、長葱の青い部分、にんじんの皮で鶏ガラスープを作ります。
鶏ガラには気力を充実させ、血液を補う作用もあると言われています。薬膳の効能をより発揮させるためにはなるべく市販のスープの素などは使用せず、素材から作るようにすることをおすすめします。
野菜や果物の皮や種など普段は捨ててしまうような部位には豊富な栄養素が詰まっていることが多く、自然なうまみを引き出せますのでこのようにベジブロスとして使用するのもいいですね。
みじん切りにした玉葱、長葱をオリーブオイルとにんにくで炒めたものに、リゾット米を加え、
更に炒めたら白ワインを加え、鶏ガラスープを適量加えます。
リゾットのお米は大粒でべたつかず、煮崩れせず、歯応えのあるアルデンテに仕上げることができる国内産リゾット専用米を使用しました。リゾットの本場イタリアではカルナローリ米がリゾットに最適の品種とされているそうです。
煮立ってきたらほうれん草を加え、水分が少なくなったら都度鶏ガラスープを加え20分ぐらい煮ます。
塩・胡椒で味を調え、火を止めてバター・パルミジャーノを加え、蓋をして蒸らしたら出来上がりです。
☆豚ひれ肉の赤ぶどう煮
タイプ:腎精不足証・陰虚(精髄不足により脳が営養不足となっている)
立法:補腎滋陰養血 陰液と血を滋養し、腎を養い、精髄を補う
豚ヒレ肉に生ハムを巻き、たこ糸でしばり、全体に塩・胡椒をふります。皆様、ご自宅でも出来るよう、
新田先生のデモンストレーションを熱心にご覧になられていました。
にんにくの味と香りをつけたオリーブオイルでにんじん・セロリ・玉葱を炒め、豚ヒレ肉とセージ
を入れて、中火で肉の表面を焼き、ぶどう・赤ワインと水を加え、塩で味を調えて煮ます。
冷めたら肉を取り出し、1cmぐらいの厚さに切り、皿に盛り、温めた葡萄ソースを上からかけて完成です。
☆里芋と豆乳のプレ 芥子菜添え
タイプ:痰濁中阻証(脾の機能が低下し水質が停滞、痰濁が生じ気が滞っている)
立法:燥湿化痰・健脾和胃 脾と胃の働きを高め、湿と痰を取り除き、気を巡らせる。
今が旬な里芋は胃腸の働きを高め、痰によって現れる固まりを解消するといわれています。
蒸した里芋(袪邪)とじゃが芋(補虚)をマッシャーでつぶし、下処理した白いんげん豆を野菜こし器でつぶします。ここで新田先生が持参された野菜こし器が大活躍!大量の食材の裏ごしも、ハンドルを回すだけで簡単に作業できるこのこし器は大量の野菜や果実をこす際に便利だそう。
上記を混ぜ合わせたものを鍋に入れ、痰を取り除く作用が期待できる豆乳を注ぎ、弱火にかけ、
塩・胡椒少々とトリュフオイルを加えて味を調えます。
フライパンにオリーブオイルとみじん切りにしたにんにくを入れ、弱火にかけ、
アンチョビを加え溶かしたら、芥子菜のじくの部分を炒め、その後葉先の部分を加え
混ぜ合わせたら火を止めて塩少々、みかんの果汁を加えて味を調えます。
みかんは気の巡りを良くし、胃の働きを高め、湿を乾燥させ、痰を取り除く効果があると言われています。
皿にプレを盛り、芥子菜を添えて出来上がりです。
☆くるみと栗のケーキ
タイプ:腎精不足証 陽虚(精髄不足により脳が営養不足となっている)
立法:補腎助陽 腎を温め、腎気を助け、髄海を充実させめまいを止める。
クリーム状にしたバターにきび砂糖や体を温める黒砂糖、シナモン、フェンネルパウダー、
それらがよく貯蔵されるようにレモンの皮を加えてよくすり混ぜます。
メレンゲや粉類を加えてさっくり混ぜます。
粉類には胃腸の働きを高める作用が期待できるコーンミール(乾燥させたとうもろこしを粉状にしたもの)や
腎に作用すると言われているアーモンドを粉末状になるまで細かく砕いたアーモンドプードルが含まれています。
最後に腎を補う作用があると言われている胡桃と栗を散らし、オーブンで焼きます。
素材の自然な甘味が感じられ、体を温めてくれるこれからの時期にぴったりなケーキが出来上がりました♪
☆めまいのためのハーブティー
菊花・薄荷・ラベンダーにお湯を注ぐだけで簡単に作ることが出来ます。
涼性の菊花・ミントは、とくに、体の上部の熱を冷ますと言われており、ラベンダーは
アロマテラピーでも有名ですが、心を鎮めてくれてリラックス効果があります。
さて、春からスタートした2022年新田先生のイタリア薬膳料理講座ですが、
今回も多数の方にお申込みをいただき、満席となりました。
次回の講座は下記の通りとなります。
日時:2022年12月12日(月)10:00~13:00
場所:本草薬膳学院 教室
テーマ:疲れに対するイタリア薬膳
受講料:6,000円
※既に満席となっておりますが、キャンセル待ちにて受付可能です。
また、5回目(2023年2月27日)と6回目(2023年4月24日)はお席に若干余裕がございますので
ご興味がある方はお早めにお申し込みいただくことをおすすめいたします。
お申込み方法:下リンク先よりお申し込み書をダウンロードの上、必要事項をご記入いただき期日までにFAX、郵送、メールにて学院までお送りください。
または、公開・特別講座申込フォームからのお申込みも可能です。
講座内容:
(2022年3月現在)
日付 | 申込み締切日 | 講座内容 | |
1 | 2022年6月27日 | 6月20日 | 不眠に対するイタリア薬膳 |
2 | 8月22日 | 8月15日 | 頭痛に対するイタリア薬膳 |
3 | 10月24日 | 10月17日 | めまいに対するイタリア薬膳 |
4 | 12月12日 | 12月5日 | 疲れに対するイタリア薬膳 |
5 | 2023年2月27日 | 2月20日 | 冷え性に対するイタリア料理 |
6 | 4月 24日 | 4月17日 | うつに対するイタリア薬膳 |
お申込みをいただいた方には開講が決定次第、改めましてメールにてご連絡を差し上げます。
開講決定後にお振込みいただいた受講料は返金出来ません。食材準備の関係上、キャンセルは3日前までにお願いしております。3日前以後のキャンセルは後日レジュメ渡しとなります。予め、ご了承ください。
講師:新田 玲子
イタリア料理家、国際薬膳師・国際薬膳調理師、イタリア語講師。通算8年イタリアで暮らし、滞伊中、イタリア家庭料理研究家、野尻奈津子氏より料理を学ぶ。帰国後2005年よりイタリア料理の会「TIRAMI SU’(ティラミス)」を主宰。2010年より本草薬膳学院にて公開講座として薬膳イタリア料理講座を年6回受け持ち、薬膳イタリア料理レシピは200以上にのぼる。
2020年『イタリア薬膳ごはん 体の不調とおさらばできる』講談社 イタリア食文化文筆・翻訳家 中村浩子共著出版。好評発売中!
〈 前の記事
【公開講座】大村先生の「薬膳お菓子と薬膳茶を楽しむⅠ(第5回目)」が行われました!
次の記事 〉
2022年秋期スクーリングを開催いたしました