【公開講座】2022年「イタリア薬膳料理講座(第2回)」が行われました!
8月22日、2022年公開講座『新田先生のイタリア薬膳料理講座』の第2回目が行われました!
こちらの講座は調理実習前にその日のテーマに関する中医学理論の講義があります。
今回のテーマは「頭痛に対するイタリア薬膳」。
頭部は陽気が集まるところで脳には精・気・血が注いでいます。外からの邪気の侵入や体の内の病的変化や損傷で気血の流れが乱れると脳を養うことができなくなり、頭痛が発生します。
新田先生からは頭痛を9つの証に分類し、そのタイプ別に原因・起こりやすい季節・症状・対処法等をまとめた表を使用しながら詳しくご講義いただきました。
頭痛もタイプによって薬膳処方が異なります。外感頭痛には疏風・散寒・化湿・清熱の食材、内傷頭痛には補気養血・滋陰補腎と同時に平肝・去湿・理気・活血の作用がある食材を選びます。
こちらの講座ではこのような難しい中医用語もわかりやすくかみ砕いて説明してくれますので中医学・薬膳初心者の方でも安心して受講できます。
理論の後は調理実習。それぞれの頭痛のタイプにあったおすすめ食材・中薬を使用した下記メニュー4品を作りました。
☆大根と梨の重ね煮 マッシュルーム添え
タイプ:痰湿頭痛(肥満・食べ過ぎ・むくみのある人によく起こる気機阻滞の頭痛)
立法:健脾化痰袪湿・降逆止痛 脾の働きを高め、湿と痰を取り除き、気を降ろし痛みを止める。
輪切りにした大根に野菜ブイヨンと塩を加え、落し蓋をして煮た後、梨も加えてさらに煮ます。
大根は体の余分な熱を取り、痰を取り除く効果があると言われ、消化を良くしてくれます。
今が旬の梨は肺を潤し熱を下げ、痰や空咳など、のどの不快症状の改善におすすめな食材です。
白いんげん豆にヨーグルトを加え、みじん切りにしたオリーブや細ねぎ、調味料を
混ぜ合わせ、味を調えたペーストを梨・大根の上に塗ります。
白マッシュルームやルーコラを盛りつけ、オリーブオイルをかけ、軽く塩をふって完成♪
ここ最近、一雨ごとに秋が深まってまいりましたが、秋は夏に比べ乾燥が気になる季節。
「秋の臓」といわれる「肺」は、特に乾燥するのを嫌います。
使用したこれら白い食材は体を潤す働きのものが多いと考えられています。
乾燥がひどくならないうちに体を潤す食材で養生し、病気を未然に防ぎましょう。
☆紅花入り赤玉ねぎのスパゲッティ
タイプ:気滞血瘀(ストレス過多・肝機能障害の方によく起こる血行不良による頭痛)
立法:理気活血止痛 気の巡りをよくして血流を改善し痛みを止める。
赤玉ねぎの薄切りとにんにくを炒めたものに紅花、アンチョビ、赤ワインを加え、
蒸し煮にし、玉ねぎがとろとろになるまで炒めます。
玉ねぎは血や気の滞りを改善し、体を温める作用があると言われています。
紅花は血行を良くし、温めて痛みを取る作用があると言われ、腰痛・関節痛、月経痛など婦人科の悩みによく使用されます。独特な香りがあるので、多く入れすぎないように注意。
また、妊娠中の方(妊娠の可能性がある方)や、出血過多の時には使うのを控えましょう。
アンチョビ(いわし)は体を温め、気・血を補う作用があると考えられています。
出来上がったソースにアルデンテに茹でたスパゲッティを和え、レモンの皮をすり下ろしたものを
加えます。香りがある食材は味のアクセントだけではなく気を巡らす作用があるので気の詰まりを感じた時には取り入れると良いでしょう。また体を温める食材は血流を良くしてくれます。
☆ネクタリン風味の鶏肉
タイプ:気血両虚頭痛(虚弱体質・貧血のある方によく起こる脳の栄養不足による頭痛)
立法:補気養血止痛 気と血を補い痛みを取る
一口大にそぎ切りし、塩をふり強力粉をまぶした鶏むね肉を片面ずつ焼き、
くし形に切ったネクタリンとワインビネガー等の調味料を加え弱火で煮たものを
サラダほうれん草の上に盛る、という簡単メニュー。
桃は夏が旬の果物にはめずらしく体を温める働きがあり、血行を促進して胃腸の働きを高め、気血を補うので疲労回復や夏バテ予防にも効果的な食材です。
鶏肉も気を補っておなかを温める作用があり、消化吸収がよく、虚弱体質の人の体力強化におすすめな食材。夏の疲れが出てくるこの時期にささっと作ることが出来、見てるだけで元気が体の湧いてくる一品です。
☆トマトのスキアッチャータ
タイプ:風熱頭痛(春~秋によく起こる、気血の流れが上逆して詰まる頭痛)
立法:疏風清熱止痛 辛味で涼性の食材・中薬で発汗を促し、邪気を取り除き痛みを取る。
ボウルにふるった粉類、バターを入れてよく混ぜ合わせ、そぼろ状にしたものに
きび砂糖やパルミジャーノ、オレガノ等を加え、更にトマトピューレや卵を追加します。
トマトを輪切りにし、型に並べ、上記の生地を広げ、オーブンで焼きます。
イタリア料理に欠かせないトマトは体の熱を取り、体に潤いを与えてのどの渇きを
癒してくれますので風熱の頭痛にはもってこいの食材です。生地に使用している小麦も同様の働きがあります。
粗熱が取れたら、皿に返し、上からオレガノをふりかけて完成!オレガノはほろ苦い清涼感が
トマトやチーズと相性がよいため、イタリア料理ではよく使われますね。
清熱・解表の効能が期待されますので感冒による発熱時に取り入れるとよいでしょう。
こちらのメニューは前菜としてもおすすめです^^
☆風熱頭痛のためのハーブティー
ペパーミント(薄荷)とオレガノ、カモミールにお湯を注ぐだけで簡単に作ることが
出来ます。頭が張るように痛む、発熱、口喝、咽頭痒痛、目の充血などの症状がある時に
是非お試しください。ほのかな苦味がさわやかに感じられるすっきりしたあと味です。
さて、前回からはスタートした2022年新田先生のイタリア薬膳料理講座ですが、今回も多数の方に
お申込みをいただき、満席となりました。
大変人気な講座ですので、ご参加ご希望の方はお早めにお申込みください\(^o^)/
次回の講座は下記の通りとなります。
日時:2022年10月24日(月)10:00~13:00
場所:本草薬膳学院 教室
テーマ:めまいに対するイタリア薬膳
受講料:6,000円
お申込み方法:下リンク先よりお申し込み書をダウンロードの上、必要事項をご記入いただき期日までに
FAX、郵送、メールにて学院までお送りください。
または、公開・特別講座申込フォームからのお申込みも可能です。
講座内容:
(2022年3月現在)
日付 | 申込み締切日 | 講座内容 | |
1 | 2022年6月27日 | 6月20日 | 不眠に対するイタリア薬膳 |
2 | 8月22日 | 8月15日 | 頭痛に対するイタリア薬膳 |
3 | 10月24日 | 10月17日 | めまいに対するイタリア薬膳 |
4 | 12月12日 | 12月5日 | 疲れに対するイタリア薬膳 |
5 | 2023年2月27日 | 2月20日 | 冷え性に対するイタリア料理 |
6 | 4月 24日 | 4月17日 | うつに対するイタリア薬膳 |
お申込みをいただいた方には開講が決定次第、改めましてメールにてご連絡を差し上げます。
開講決定後にお振込みいただいた受講料は返金出来ません。食材準備の関係上、キャンセルは3日前までにお願いしております。3日前以後のキャンセルは後日レジュメ渡しとなります。予め、ご了承ください。
講師:新田 玲子
イタリア料理家、国際薬膳師・国際薬膳調理師、イタリア語講師。通算8年イタリアで暮らし、滞伊中、イタリア家庭料理研究家、野尻奈津子氏より料理を学ぶ。帰国後2005年よりイタリア料理の会「TIRAMI SU’(ティラミス)」を主宰。2010年より本草薬膳学院にて公開講座として薬膳イタリア料理講座を年6回受け持ち、薬膳イタリア料理レシピは200以上にのぼる。
2020年『イタリア薬膳ごはん 体の不調とおさらばできる』講談社 イタリア食文化文筆・翻訳家 中村浩子共著出版。好評発売中!
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