薬膳を学ぶことで、自分だけでなく、誰かを楽に、幸せにできたら
中医薬膳師 通学コース 卒業
当学院:簡単な自己紹介をお願いします。
脇本さん:脇本浩子(わきもとひろこ)、ペンネームは中村浩子(旧姓)というイタリア食文化文筆・翻訳家です。本草薬膳学院の中医薬膳師 東京校第31期平日コースを卒業し、国際薬膳師の資格を取得しました。いまも薬膳処方作成研究科に通っております。
仕事は、イタリアの食についての本を書いたり、訳したり、薬膳をとり入れたイタリア料理についての記事も含めてWebに執筆したりしています。
著書には、学院の公開講座「イタリア薬膳料理講座」を開講されている新田玲子先生との共著『イタリア薬膳ごはん』や、イタリアに暮らす人びとの人生とその思い出の郷土料理を描いた『「イタリア郷土料理」美味紀行』があります。
訳書に、かつてイタリアの家庭に聖書とこの1冊はあったという19世紀のロングセラー料理書『イタリア料理大全 厨房の学とよい食の術』(共訳)や、イタリアから始まった食のムーブメント創始者の著書『スローフード・バイブル』があります。
趣味のほうでは、俳人協会の会員であり、茶道表千家の教授資格のある免状をもっています。気がついたら、食べたり飲んだりしながら五季を感じられる趣味を選んでいました(笑)。
当学院:薬膳を学ぼうと思った動機、きっかけを教えてください。
脇本さん:薬剤師だった母は体質が弱く、病気がちで、一生で6回も手術をし、放射線治療の後遺症に最期まで苦しみました。「母が大好きなおいしい料理で、病気を予防してあげられていたら」と看取りのときに強く思ったことがきっかけになりました。亡き父は大正末期生まれの内科医でしたが、父が学んだ西洋医学とは異なる、アジアの伝統医学にもとづく薬膳を学んでみたいと思いました。
当学院:日本に薬膳を学ぶ学校は増えていますが、その中でも本草薬膳学院を選んだ理由、学院ならではの魅力はなんですか。
脇本さん:わたしの専門であるイタリア料理と薬膳を組み合わせた本を出したいと、薬膳の勉強をはじめる前から、無謀な夢を描きまして(笑)。「イタリア料理」と「薬膳」という言葉をインターネットで検索したら、新田玲子先生が当学院で「イタリア薬膳料理講座」をすでに受け持たれているのがわかり、すぐに講座に参加しました。イタリアでの長い経験と謙虚さを兼ね備えた新田先生に本のレシピをお引き受けいただき、ともに国際薬膳師の資格取得に向けて勉強をはじめることになりました。
当学院は、辰巳学院長をはじめ、どのような質問にも丁寧に答えてくださる先生方の深い知識と熱心な指導がいちばんの魅力です。また、宿題の多さと難しさも、自分にとっては愛の鞭でした(苦笑)。
当学院:学習の中で最も印象深かったことはどんなことですか。
脇本さん:イタリア南部には11世紀ごろに医学校があり、薬草には温性と冷性、乾性と湿性があると教えられていました。それと似たような考え方が中医薬膳学の食薬にあることにまず驚きました。また、中医学が中国の古代哲学から生まれていたこと、『黄帝内経』や『傷寒雑病論』といった約2千年前の古典に拠りどころがあることにもびっくりしました。弁証論治のときに、立法の漢字の組み合わせをできるだけ文学的表現にするという美意識も、わたしのように言葉を扱う者にとっては新鮮でした。
当学院:本草薬膳学院で学んだことを現在どのように活かしていますか。また、今後どういった活動をしていきたいですか。
脇本さん:全国のイタリア料理店のオーナーシェフにご協力をいただいて、薬膳イタリア料理の食事会を開き、そこでミニ薬膳講座をもたせていただいています。昨秋は、東京と京都のリストランテでわたしが初めてオーガナイズした「薬膳イタリア料理のファイン・ダイニング」を、イタリア外務省が世界でくり広げる「世界イタリア料理週間」の正式イベントとして認めていただくことができました。イタリアの国営通信社が記事にもしてくれたんですよ。写真は別のイベントのものが使われてしまいましたが(苦笑)。
世間には薬膳というと、たいへん残念なことに、健康的でもおいしくない料理、地味な家庭料理というイメージがいまだにつきまといます。プロフェッショナルなシェフの手による洗練された創造的なイタリア料理(ファイン・ダイニング)でも、薬膳が成立するのだということをお見せし、敬遠するグルメの方々にも食養生に関心をもっていただければと思っています。
また、働く女性が増え、とくに婦人科系の病にかかる方が増えているので、病気予防・体質改善できる薬膳の知恵も、講座でぜひ広めていきたいです。
当学院:これから薬膳を学ぼうと考えている方へのメッセージをお願いします。
脇本さん:ご自分の不調だったり、友人や家族の病だったりと、お一人おひとりに薬膳を学ぼうと考えたきっかけがあると思います。大変な勉強のなかでそれをお忘れにならず、薬膳を学ぶことで、自分だけでなく、誰かを楽に、幸せにすることができるといいなと思います。
脇本/中村浩子
中医薬膳師(東京本校)第31期平日コース卒業
/研究科・薬膳処方作成研究科コース所属
国際薬膳師
Instagram 中村浩子(@hirokon1217)
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