夏・梅雨
本草薬膳学院学院長 劉 海洋

夏季は、立夏から小満、芒種、夏至、小暑、大暑の六つの節気を経て、立秋までの三か月をいうが、夏と秋の大暑、立秋、処暑、白露の四節気の間は長夏と称する、一年中で一番暑く、雨水が最も多い季節となるため、万物が生長する季節となります。「夏三月、此謂蕃秀、天地気交、万物華実」天の気は降り、地の気は昇り、天地の気を交し、「風調雨順」なので、植物は花咲かせ実をつける。体は、自然界の成長、実りに合わせ、陽気の成長の時期になるため、保養することが大事である。
 夏の特徴と病気
暑は夏の主な気候である。その特性は陽邪で炎熱、上昇、発散という特徴がある。これらの暑邪の特徴により、毛穴が開くと、汗をかきやすい。でもかきすぎると、気血、津液を消粍し、身熱、面赤、多汗、口渇、尿少などの水分不足の症状が見られます。ひどくなると、息切れ、脱力、イライラ、夏バテ、ショックなど症状を起こす。
さらに、この時期は雨がよく降り、湿気が最も盛んな季節であり、湿邪を伴いやすいという特徴がある。湿邪の重濁性により身体のだるさ、重たさが感じ。粘滞性の特徴により病程が長くなる。身体の気の流れを阻害しやすく、脾胃の陽気を傷めやすい。頭痛頭重、目やに、胸悶、食欲ない、吐き気、嘔吐、膨満感、だるいなどの症状がよく見られる。また、下痢、湿疹、腰痛や脚のむくみや痛みなどの症状がよく現れる。その他、夏になると、細菌が繁殖しやすくなり、食物が腐り易いため食中毒の発病率が高くなります。
 養 生
夏は五行の火に属し、心気に通じるため、心気の補養が重要である。「使志無怒…使気得泄」暑い夏に心情は常に楽しさを保ち、怒気を起こさない、ゆったりとした状態で過ごすようにします。
暑熱により気を傷めるため、夏にスポーツは控え、昼寝することを薦めます。夜遅く寝ても良いのであるが、朝は早く起き、自然界の陰陽の成長に応じることが重要である。寝る時に、長時間風に当たることを注意するようにします。特に、冷房が普及している現代、室内外の温度差が激しくなって、逆に体によくない、夏風邪にかかりやすく、冷え症も酷くなる、室温を25℃に設定した方が良いでしょう。
飲食について、苦味は夏の主味、心気に通じるが、苦味は清熱瀉火の同時に陰陽を消耗するので、加減するべきである。酸味、鹹味を勧めます。「心苦緩、急食酸以収之、心欲軟、急食鹹以軟之、用鹹補之、甘瀉之」酸味は収斂止汗、鹹味は補養心気、つまり、夏は味に気をつけて調味する。
冷食、生物は食べやすいが、取り過ぎると身体を冷えしてしまうので加減するべきである。さっぱりとした食事を取り、揚げ物、油っ濃いもの、腐敗したものはとらない。食中毒を予防しなければいけない。
夏バテ、熱射病を予防するため、夏に入る前に「 補肺健脾益気 」するものを適度に取っておくこと。油っ濃いものを控え、水分やミネラルの補給に気をつけましょう。
「冬病夏治」の理論により、慢性気管支炎、喘息、肺気腫、リウマチ等陽虚証に対して、夏は治療効果が一番良い季節である。
 献立のおすすめ
献立を作る時には清熱解暑、生津止渇、芳香化湿、醒脾健胃、利湿、養神安神を考えて、中薬、食材を選ぶとよい。
よく用いる中薬
清熱解暑、
生津止渇薬:
芦根、淡竹葉、荷葉、金銀花、生地、魚腥草、すべりヒユ、蒲公英、薄荷、菊、葛根、淡豆?。
芳香化湿、
醒脾健胃薬:
白豆蒄、砂仁、草豆蒄、菖蒲、陳皮、仏手、香菜、紫蘇。
利湿: 茯苓、?苡仁、冬瓜皮。
養心安神薬: 酸仁、柏子仁、遠志、夜交藤、合歓花 。

よく用いる食材
清熱類: セロリ、せり、白菜、すべりヒユ、蒲公英、薄荷、菊、葛根、淡豆?、苦瓜、マコモ、胡瓜、トマト、レタス、緑豆、豆腐、西瓜、バナナ、蔗、りんご、キウイフルーツ、梨、茶、粟。
去湿類: 茯苓、?苡仁、金針菜、チシャ、冬瓜、赤小豆、鯉、?魚、はも。
行気消食類: 大根、グリーンピース、ジャスミン茶、山査子、大麦、蕎麦、蜜柑。