春の養生と食生活
本草薬膳学院学院長 劉 海洋

春は大体毎年の2月の立春から、雨水、啓蟄、春分、清明、穀雨まで六つの節気がある。自然界は冬の寒冷気候から段々暖かくなり、萌芽、新緑が出てきて、動物達は眼が醒めて出かけるようになる。それに合わせ、体の陽気が蘇り、段々成長し盛んで来る。
 春の特徴・病因・病気
中医学の五行学説により、春になると暖かい風が東から飛んで来る。風は四季にわたり、ずっと吹いているが、春はその主節気で、影響を受けやすい。
1. 風は陽性の邪気で、身体の上半身を傷めやすい。例えば、熱、微汗、クシャミ、鼻水、鼻づまり、咽喉痒痛、微咳、目の充血、目やに、顔面浮腫、眩暈、のぼせ、頭痛などの頭面部及び上半身の症状がよく見られる。
2. 風は春の主要の気候変化だが、一年中、吹いていることに従って、風も変わり、夏の風、秋の風、冬の風がある。春風邪は熱、微汗、クシャミ、鼻水、咽喉痒痛、微咳、目の充血などの症状が中心であり、夏風邪は高熱、顔色が紅赤、大汗、のどの渇きは特徴である。秋風邪は空咳、のどの渇きなどの症状がよくある。冬風邪は寒気があり、熱、頭痛、体の疼痛などの症状が特徴になる。皆、風とつながっているので、“百病之長”と言われた。
3. 春の風邪の特徴により、病気の変化がよくある。例えば、インフルエンザ、風邪、麻疹、脳炎、肝炎等伝染病が一番流行りやすい季節になり、手が遅れると、症状がすぐ悪化し、命に影響を与えることもよく起きる。更に臨床症状の不固定性が現れる。例えば、めまいがしたり、関節、筋肉の遊走性痛み、麻痺したり、筋肉がつったりする。
特に、花粉症は、春先から初夏にかけて杉花粉などの原因によって引き起こされるアレルギー性疾病であります。患者がくしゃみ、鼻閉、分泌物いわゆる鼻水、泪が多く見られると同時にかゆみの症状を伴なう。それ以外、2月から4月の間、花粉症だけではなく、アレルギー性鼻炎の発作、或は症状が加重する患者もよく増える。
 養 生
「春眠不覚暁、処処聞啼鳥」春になると、陽気が筋肉、皮膚等体表に向かうから、起居等朝寝坊は陽気の生発を妨げるため朝は早く起き、ゆったりとした服を着て、リラックスして陽気の生長を促進するよう心がける。
春になると、春風に応じて身体中の肝臓の機能が盛んに活動する時期となる。
肝臓は精神、情志の活動に通じているため、抑欝が嫌いで暢達を好む特徴を持っている。精神的に発散することが大切である。抑鬱と怒ることを戒め、度量を大きく持ち、楽観、愉快の心理を保つことが重要である。
厳寒の冬で収縮して固まっていた身体が、暖かい春風を感じ、緩み膨らんで来る。だから、遠足、登山、花見等郊外の活動を行うべきである。
 食生活
一、 春は陽気を育ち、生長させる季節だから、辛い食物、甘い食物の麦、棗、豆?、落花生、葱、香菜等は補養、発散の効果があるので推薦する。
二、 酸味は肝臓に選択的に入りやすいので、春に機能が盛んになる肝臓に対する適度に酸味を使う。ところが、酸味は収斂、固渋の効果があるので、陽気の生長、発散に良くないから控える場合もある。
三、 よく用いる素材
1. 陽気の成長を促進する作用がある食品:
小麦、大麦、米、トウモロコシ、葱、生姜、香菜、紫蘇、防風等。
2. のぼせる症状を抑える働きのある食品:
蕎麦、粟、麦、豆腐、セロリ、白菜、胡瓜、トマト、キウイフルーツ、菊花、茶。
3. 肝は消化吸収能力を促進させる作用があるので、春は肝臓だけではなく消化器官の調子(脾と胃)も大事である。健脾作用がある食品をとるべきである。米、糯米、はとむぎ、牛肉、鶏肉、豚のモツ、豚のまめ、トウモロコシ、人参、長芋、ジャガイモ、カボチャ、いんげん、そら豆、大豆、椎茸、栗、大棗、蜂蜜。
4. 花粉症などアレルギー性疾病に対する補気、去風、清熱のものをよく用いる。
葱、紫蘇、生姜、菊花、薄荷、金銀花、棗、胡麻、山薬、椎茸、牛肉、泥鰌、蜂蜜。