学生の声

シリーズ 学生の声B


薬膳を学んで
国際薬膳師特別コース 柳原 房江(72歳)

 

 私の夫は47歳でパ−キンソン病と診断され22年間の闘病の末に亡くなりました。その間、西洋医学のお蔭で生きて来られたと思いますが、半面、薬の副作用なたで私も共に苦しみました。最近頻発する医療ミスにも心が痛み、もっと人間に優しい医療はないものか、否、その前に病気を未然に防ぐ方法はないものかと、夫を亡くしてむなしい日々の中で考えていたころ、娘から薬膳の本が送られてきました。それを読みながら目から鱗の落ちる連続でした。中国4千年の歴史の古い薬膳が私にはとても新鮮にみえました。    
 夫を亡くした悲しみの中から立ち直るために何かやらねばと考えていましたので、早速、劉海洋先生のところに入り、本格的に勉強を始めたことは何年前の話でした。
 1ヵ月に2回4日間のスク−リングのための上京も体力的に大変でしたが、内容も私は教員の現職で栄養士でもあるからと甘く見ていたら、とんでもない「考え方の違い、言葉の壁」。時には私の持っている栄養学の知識が邪魔になり混乱する始末、異文化を学ぶ困難さをこの年齢になって初めて味わいました。
 劉先生には「その年齢だから若い人の何倍も勉強しなくては」「分かるまで教える」と言われ、スク−リングの度にテストはあるし胃痛や眼精疲労になったりで途中で何回もやめようかと考えましたが、「やめたら今までの努力が無になる」と思い直し、息子や娘に励まされて頑張りました。
 その後、中国への研修旅行で大学の授業に参加し、博物館や広大な漢方薬の市場を見学して様々な生薬を手にし、頭の中の知識が定着していくのを感じました。憧れの万里の長城にも若い人と共に登ることが出来て私の人生の節目である「古稀」の良い記念になりました。また、70歳になってもやれば出来ると、これからの人生にも自信がつきました。去年の11月に何とか中国薬膳研究会の国際薬膳師資格認定試験に合格し、合格通知書と国際薬膳師の資格を手にした時は感激しました。
 「二十一世紀は癒しの時代」と言われます。食物はファストフ−ドからスロ−フ−ドへ 、音楽もゆっくりとした優しいものへ変わりつつあります。これからは今までの西洋医学の中に人間の自然治癒力をたすける漢方や、日常食で体質を改善し病気を予防する薬膳が取り入れられもっと人間に、自然に優しい方向に変わっていくのではないでしょうか。私の余生が少しでも皆さんの役に立てばと願っています。