薬食同源・医食同源


食器の話

   厨房に欠かせない調理器や食器は、新石器時代にはすでに陶器のものが揃っていたことがわかっています。中国の江西省では、約1万年前の陶釜が発見され、それで食物を煮炊きしていたようです。商・周時代になると青銅器が広く作られるようになり、調理器類も大きく発達しました。釜をもとに作られた甑は底に穴がある鍋(汽鍋)で、これによって今までになかった「蒸す」という方法が可能になり、調理の幅が広がりました。
   古代の調理器として代表的な鼎は、約7千年前から作られるようになり、三つの足で安定しているので、塊の肉を煮るのに用いられました。食卓で入れ物としても用いられていたようです。鼎と似た調理器には、足が中空の鬲、犬や鳥などの動物の形をした?などもありました。
   食文化が発達するに従って「礼」が生まれ、鼎は先祖・神様を祭るときの祭器に使われるようになり、「礼器」となりました。また、鼎は権力の象徴でもありました。これは禹王が中国歴史上初めての国家である夏を建立した後、国を統治するために全国を9つの州に分け、各州から銅や鉄などの金属を集めて9つの鼎「九鼎」を作ったことに由来しています。「九鼎」を持つことができるのは天子だけで、諸侯は「七鼎」、大夫は「五鼎」、士は「三鼎」または「一鼎」というように、鼎は権力・等級を表しているのです。
   銅器の食器は歳月がたつにつれ、歴史の舞台から消えていき、漢代には鉄製の食器が使われ始めました。魏晋南北朝に入ると磁器を作る技術が発達し、碗・皿・壷などが大量生産されるようになりました。明・清代には磁器は陶器や青銅器よりも軽くて美しく、使いやすいので、最もよく使われていました。